三宅島 旅行・観光ガイド ブログ
ギャラリーカフェ・カノン・伊豆岬 灯台・伊豆地区
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ギャラリーカフェ・カノン
伊豆地区は、三宅島の北西部に位置する地域です。行政機関が集中していて、三宅支庁や三宅島警察署、保健所などが立地しています。また、島で唯一の小中学校があるのもここ伊豆地区です。
伊豆地区は、歴史的にみて噴火の被害が少なく、地形的に火山ガスの影響もあまり受けません。行政機関が集まっているのは、こうした理由も関係しているかもしれません。
伊豆地区で昼食にしようとお店を検索したら「ギャラリーカフェ・カノン」というお店を発見。電話してみたら、営業しているというので、行ってみることにしました。
- 「伊豆岬入口」バス停で下車した。
錆が浜港からバスに揺られて25分、「伊豆岬入口」バス停で下車しました。
バス停のそばに営業中の看板が出ていたので、お店の場所はすぐ分かりました。
- 「カノン」の看板が立っていた。
- ここで折れて、奥の小道を進むと左手に「カノン」がある。
伊豆岬へ向かう横道に入り、すぐに右折すると、まもなく左手にログハウス風の店舗が見えてきます。オシャレな民家風の建物で、初めてだとちょっと入りづらい雰囲気です。
店名通り、店内は落ち着いたギャラリーのような雰囲気。木の温もりを感じさせる内装で、壁や棚には、オシャレな装飾品が並んでいました。本や雑貨の販売も行っているようです。
ランチタイムは、“焼きたてパンのハンバーガーセット”が人気だそうです。私は、「三宅島産ムロのすり身つみれバーガー」(1,000円)を注文しました。セットはドリンク付で、「明日葉ミルク」など、ちょっと変わったメニューもありました。
- 雑貨や書籍の販売もしている。
三宅島のムロアジを使ったつみれは、独特の風味で美味しかったです。手作りバンズも食べ応えのある食感で、満足度の高い一品でした。
繁華街からだいぶ離れた立地ですが、それなりに客入りがあるようで、地元ではメジャーな人気店のようです。そういえば、御蔵島でお世話になった鉄砲場のスタッフさんが昔ここでバイトしていたと言っていました。
伊豆地区を歩く
「カノン」から三宅小中学校方面へ歩いてみます。
- 伊豆地区の街並み。
都道に沿って民家が並んでいますが、阿古のように、密集した住宅地のような感じではありません。歩道には花壇が作られていて、歩いていて気持ちのいい道路です。
人通りは無く、たまに車が通過する程度。歩道で猫がひなたぼっこしていたりして、のんびりとした雰囲気です。
伊豆バス停の近くに立派なお寺がありました。善陽寺という日蓮宗のお寺で、1395年に創建されたそうです。
- 善陽寺という寺があった。
善陽寺の敷地に「二木巡査顕彰碑」というものがあります。二木(ふたつぎ)巡査とは、初代駐在所員として、三宅島に初めて赴任した警察官です。
二木巡査は、鹿児島県出身で着任当時27歳だったそうです。当時の警察官は、伝染病の予防も職務の一つでしたが、防疫作業の過程で、二木巡査自身も感染してしまい、殉職したと伝えられています。
島民に慕われていた巡査の死を悼み、功績を称える碑を建立したのだそうです。
- 三宅村伊豆出張所と併設されている三宅島伊豆郵便局。
伊豆バス停付近が伊豆地区の中心地のようです。ここには三宅村伊豆出張所があり、30軒ほどの民家が密集しています。とはいえ、賑やかさはなく、閑静な住宅地という感じです。
- 三宅島警察署の伊豆駐在所。
出張所内に三宅島伊豆郵便局が併設されているほか、近くには伊豆駐在所もあります。
- 都道沿いにある「ソガベ商店」。
島しょ保健所三宅出張所は、三宅島と御蔵島を管轄する保健所の出張所です。伊豆諸島では、各支庁ごと単位で保健所が設置されていて、三宅支庁がある三宅島では、ここ伊豆地区に立地しています。
- 保健所前バス停。奥に見えるのは、島しょ保健所三宅出張所。
東京電力三宅島事務所があるT字路を曲がると、道は大久保浜へ続いています。途中に、三宅小中学校があります。また、小中学校の隣接地に三宅島ヘリポート(三宅村場外離着陸場)もあります。
- ここを左折すると、ヘリポートがある。
三宅島ヘリポートは、避難指示が解除された2005年当時、三宅島空港が高濃度地区にあったため、暫定的に整備された離発着場です。もともとここは、島内の復旧工事を行う関係者向けの作業員宿舎があった場所で、現在も緊急時の避難施設として活用されています。
三宅島空港は、風向きの関係で火山ガスの影響を受けやすいため、空港の運用再開後も、東邦航空の東京愛らんどシャトルはこの場所に発着しています。空港から車で約30分の距離にあり、周辺に案内看板も無いため、初めて島を訪れた観光客には、なかなか到達難易度の高いヘリポートです。(最寄りのバス停は「三宅小中学校前」)
伊豆岬
伊豆岬は、島の北西に位置していて、少し飛び出した地形となっています。天気が良ければ、新島・神津島だけでなく、富士山まで望むことができるそうです。
伊豆の集落から岬方面へ向かう道は原生林に囲まれ、所々が畑として開拓されています。岬までは、しばらく薄暗い道が続くので、地図を見ながらでないと、ちょっと不安になります。
伊豆岬に到着。見晴らしの良い風景が続きます。整備されて間もないのか、海岸沿いを走る道路は綺麗です。
伊豆岬の海岸は、黒くごつごつとした玄武岩質の険しい岩場となっています。やはり噴火によってできた地形だと思われます。
岬の先端から雄山を眺めると、視界いっぱいに原野が広がります。三宅島の中でも、ここだけで見られる特別な風景です。背の低い草が一面に群生していて、樹木は見られません。雄山は雲の帽子を被っていました。
伊豆岬灯台に着きました。伊豆岬灯台は、伊豆諸島最古といわれる歴史ある灯台です。初点は、明治42年の6月。その後、昭和55年に改築されました。昭和26年までは石油で点灯していたそうです。
灯台は高さ10メートルの石造り。保存灯台(Dランク)に指定されています。
朝信レンタバイクの原付で、坪田~島下~神着地区を巡り、あともう少しで三宅島一周となります。日が傾き、夕日に照らされた灯台が美しいです。
伊豆岬一帯は、地層観察に適した場所でもあるらしく、過去1万年の噴火の歴史が分かります。中には、新島の向山噴火(886年)や神津島の天上山噴火(838年)の火山灰も見つかっていて、伊豆諸島全体の歴史を物語っています。
- 伊豆岬灯台は、地層観察に適したスポットでもある。
不思議な曲線を描く独特の地層は、約2500年前の八丁平噴火時のもの。「火山豆石(かざんまめいし)」と呼ばれる、噴煙の中で火山灰と水蒸気が凝結し丸くなって落ちてきた石によって造られた地層です。長年の風化によって、複雑な模様を造り出しています。
まさかの延泊
当初、三宅島には2泊の予定でしたが、予約していた飛行機が火山ガスの影響で欠航となり、延泊を余儀なくされました。幸い、共栄荘の部屋に空きがあり、そのままもう一泊できました。
雲ひとつ無い青空で、風も強くなかったにもかかわらず、欠航と判断されたことには驚きました。同時に、三宅島が直面する現実を見た気がしました。
実はこの日、島内に設置された放送設備から、火山ガス濃度が上がっていることを伝えるアナウンスが複数回流れていました。その時は何とも思っていなかったのですが、空港のある三池・沖ヶ平地区のガス濃度上昇を警告する内容だったようです。
ちなみに、翌日の便に振替ようとしたら、10:30の便は満席だったため、12:30の便を予約しました。これが結果的に正解でした。というのも、翌日も火山ガスが収まることはなく、10:30の便は欠航となったのです。
共栄荘のご主人には「12時の飛行機がダメだったら、そのまま三池港に走れ。客船はガスに関係なく就航するから。」とアドバイスを受けていました。確かに、15時の飛行機に掛けるくらいなら、その日のうちに確実に東京に着ける客船を選択したほうが賢明です。
11時頃“早く出発するかもしれないから、11時半には空港に居て欲しい”と空港から電話がありました。なんと、飛ぶ見込みがあるようです。火山ガスの合間を縫って、飛行機が三宅島に到着し、30分早い12時頃に搭乗受付が始まり、この日、一日遅れで無事帰ることができました。
話には聞いていましたが、これが火山を抱える三宅島の現状です。
- 探索日
- 2014/04/30 - 05/03
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