三宅島 旅行・観光ガイド ブログ
三宅島 阿古・ホテル海楽・村役場
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三宅島の集落
三宅島には、雄山を囲うように、海岸に沿って9つの地区があります。一周およそ30kmあるため、地区間を徒歩で移動するには無理があります。公共交通機関としては村営バスがあり、上下線が1日各5本ずつ運行されています。三宅島空港から阿古集落の中心部まで、所要時間はおよそ25分です。
阿古地区について
阿古は、三宅島で最も賑わっている集落です。集落の中心には、客船が発着する錆が浜港があり、三宅島の玄関口となっています。三宅島には、港がいくつかありますが、東側は三池港、西側は錆が浜港がメインで使われ、その日の風向きなどで、どちらに接岸するかが決まります。
阿古地区は、1983年の噴火で、集落の大半が溶岩流に埋め尽くされる被害を受けました。被災後、阿古の人口は減少し、商店や民宿は少なくなったそうです。
一方で、1983年以降、阿古が噴火によって大きな被害を受けたことはありません。
2000年の噴火以降、島の東側の火山ガス濃度が高くなり、居住が制限されたため、三池・沖ヶ平地区にあった行政機関や事務所が、阿古地区に移転しました。2014年現在、三池・沖ヶ平地区の居住制限は無くなったものの、依然として火山ガス濃度が高く、村役場は阿古地区の暫定庁舎で業務が続けられています。
こうした経緯から、阿古地区は、三宅島の観光・行政の中心的な役割を担っており、民宿や商店もそれなりに揃っています。居酒屋も、阿古地区だけで3~4軒あるそうです。初めて三宅島を訪れる際は、阿古で宿を探すのがおすすめです。
「ホテル海楽」は、三宅島で唯一の“ホテル”です。錆が浜港からまっすぐ進んだ突き当たりにあり、便利な立地です。私は宿泊しませんでしたが、宴会場やビアガーデンを備えているとのこと。また、ここのレストランは、宿泊者以外でも利用できるそうです。
ホテル海楽の敷地内には、オレンジの外壁が特徴的な目立つ建物があります。近付いてみると、賑やかな音が聞こえてきました。どうやら、パチンコ店のようです。入口には、係員が立っていたので、中の様子を窺うのは諦めました。後で調べたところ、「パーラーみやけ阿古店」という店舗のようです。“パーラーみやけ”は、阿古のほかに、坪田にも店を構えているそうです。
- ホテル海楽の敷地内には、パチンコ屋があった。
ホテル海楽のはす向かいに建っている白い建物は、食品スーパーの土屋食品です。
品揃えが豊富で、特に弁当・惣菜のコーナーが充実しているので、観光客の利用も多いのではないかと思います。
阿古の神社
三宅島には多くの神社があり、ここ阿古地区にも、神社が点在しています。
差出神社
三宅島一周道路沿いに歩いていると、一つ目の神社「差出神社(さしでじんじゃ)」がありました。かわいい鳥居の奥に、小さな祠があるのが見えます。
- 錆が浜港の近くにある差出神社。
商店や住宅が並ぶ通り沿いで、なぜかここだけ鬱蒼とした木々に覆われています。よく見ると、火山ガスの影響を受けたのか、立ち枯れている樹木も見られます。
この神社には、「剣の神」が祀られているとのこと。さらに看板の説明によると、「一説に、この神社は『ヤマブキ沢』から流出した細長い溶岩流の上にあり、その周辺の地に『上サビ』『中サビ』『下サビ』等の地名が残っている。『サビ』の意味は、溶岩流の鉄錆色に由来し、剣とは細長い溶岩流自体のことであるともいわれている。」とのことで、この神社が別の場所(火口付近?)から移転したことを匂わせています。
荒島神社
差出神社から、通り沿いに北へ進むと、「荒島神社(あらしまじんじゃ)」という神社があります。看板の説明によると、富賀神社を富賀平から現在の場所に移転する前に、いったんこの場所に移したそうで、つまりこの場所は、富賀神社の跡地なのだそうです。
さらに、富賀神社が、この場所から現在の場所へ移転した理由は、「噴火による移村が行われたのではないか」とされており、ここ荒島神社に「火の神」が祀られているのも、噴火への恐怖によるものだと推測されています。
剣の神や火の神といった信仰は、雄山の噴火と密接に結びついていることが想像されます。
火戸寄神社
荒島神社から、一周道路をさらに北へ進むと、「火戸寄神社(ほどりじんじゃ)」という神社の入口があります。ジブリ映画のような木のトンネルが目を引きます。前出の「差出神社」と同様、剣の神が祀られています。
「ホド」とは、火山の噴気孔のことを指すと考えられているそうで、火戸寄(ほどり)という社名から「コシキ山噴火口」を祀る神社とも云われているようです。
阿古の南側を歩く
一周道路に沿って、阿古地区の南側を歩いてみます。
緩やかなカーブの途中に、北川商店という小さなお店がありました。食料品、酒類のほか、日用雑貨も扱っていて、小さいながらも、品揃えは豊富です。
- 阿古集落の南側にある「北川商店」。
私は小腹が空いていたので、菓子パンコーナーへ向かいました。すると、見慣れない包装のパンが…。地元のベーカリーでしょうか。
パッケージを見てみると、「築穴製菓」と書かれており、所在地は「三宅村坪田」となっています。実は、この築穴製菓は、三宅島で唯一のパン屋さん。素朴で懐かしい味が人気なのだそうです。
- 「あげあんぱん」もおいしかった。
ジャムパンを食べてみると、溢れんばかりのジャムが中に入っていました。手作り感があって、どのパンも美味しかったです。(美味しくて値段も手頃なので、つい次の日も買ってしまいました。)
- ペットショップも兼ねている「シタヤマ動物病院」。
北川商店の向かいにあるのが、ペットショップ・動物病院を併設している「シタヤマ薬局」。三宅島では数少ない薬局で、市販薬や化粧品を扱っています。
信号のある交差点を直進すると、右手に三宅島阿古郵便局があります。ATMが設置されているので、お金が無くなったらここで下ろせます。
郵便局の向かいにあるのが、2基の巨大な石油タンク。
「東電フュエル 三宅島油槽所」と書かれており、海上輸送されてきた燃料を貯蔵しているようです。東電という名前から推測すると、発電所向けの重油だと思いますが、一般向けにも販売されているかもしれません。
三宅島には、各地に村営住宅が造られています。阿古地区にも多数の団地がありますが、その中で一際大規模なのが、下錆団地です。下錆団地だけで6号棟あり、44戸が居住できます。
この辺りは、街灯が少なく、夜間星空を観察するには良さそうなスポットです。
三宅村役場(阿古中学校跡地)
前述の通り、三池・沖ヶ平地区にあった村役場は、火山ガスの影響で、現在は阿古地区の旧阿古中学校の校舎を暫定庁舎としています。なお、阿古小学校・中学校ともに、現在は廃校となっていて、島の北西部の伊豆地区に「三宅小学校」「三宅中学校」として統合されています。
正門から見て、手前の青い建物が、阿古小学校の校舎です。現在は、「三宅島郷土資料館」と「三宅村立図書館」となっていて、観光客も利用できる施設となっています。
- 小学校跡を利用した三宅島郷土資料館と三宅村立図書館。
奥にある白い建物が、かつての阿古中学校の校舎で、現在は村役場となっています。なお、あくまでもここは「臨時庁舎」となっていて、正式な役場の所在地は、現在も坪田(沖ヶ平地区)になっています。
三宅村役場のすぐ近くには「サントモ」があります。入口が素敵なペンションです。
ちなみに、阿古は、かつては温泉街だったそうで、各民宿に温泉を引いていた時期もあったとか。しかし、1983年の噴火で壊滅的な被害を受け、全ての温泉宿が廃業したそうです。現在は、村が運営する「ふるさとの湯」が、島で唯一の温泉施設となっています。
- 探索日
- 2014/04/30 - 05/03
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