三宅島 旅行・観光ガイド ブログ
大路池・新澪池跡・新鼻新山(三宅島の観光スポット)
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新澪池跡
新澪池(しんみよういけ)は、薄木・粟辺地区にあった池です。1763年の噴火によりできた火口湖といわれています。水面が七色に変化する美しい池として親しまれてきました。
しかし、1983年の噴火で溶岩が流入し、池の水と溶岩が接触、激しい水蒸気爆発(マグマ水蒸気爆発)の後に、池の水は無くなりました。最初の噴火から半日も経たない間の出来事だったそうです。
- 新澪池跡に到着。
新澪池跡は、現在観光地として整備されていて、都道沿いに造られた展望台から、池があった場所を見下ろすことができます。
かつての湖底には、ススキが一面に広がっています。水があった場所と池の周りの境界が明確に見て取れます。池の底は、時期によってぬかるんでいたり、乾燥していたりします。
溶岩は奥から流れてきたそうです。緑の中に黒く固まっているのが、その時の溶岩と思われます。
池に下る道はありませんが、一応立ち入りも可能らしいです。展望台近くの藪をかき分けて下っていくらしく、見た目ほど険しい道ではないとのこと。
新鼻新山
新鼻新山(にっぱなしんざん)は、新澪池を消失させた1983年の噴火でできたスコリア丘です。「一夜でできた山」として、三宅島では有名なスポットとなっています。
1983年の噴火では、ここ薄木・粟辺地区で激しい水蒸気爆発が繰り返し発生しました。その激しさは、御蔵島からも火柱が確認できるほどで、大量の溶岩や火山灰が噴出されました。新鼻新山は、それらが降り積もってできたそうです。
- 草むらを抜けて海岸へ向かう。
新鼻新山へは、都道から海側の茂みを抜けていきます。案内板が無いため、知らないと存在すら気付かないかもしれません。位置的には新澪池の向かいにあり、地図上で場所が分かっていれば、到達すること自体は難しくありません。
茂みを抜けると、朽ちた柵が並ぶ異様な空間に出ます。植生回復のための保護ネットのように見えますが、目的はよく分かりません。このまままっすぐ海の方へ歩くと、一気に視界が開けます。
海岸に積もっている黒い砂利のようなものは、スコリア(火山の噴出物)と思われます。一面が黒い砂利に覆われていて、不思議な光景です。
溶岩が流れてきた七島展望台方面まで見渡すことができます。植生はずいぶんと回復してきているように見えますが、高い樹木が無いため、異様に見通しが良いです。
新鼻新山に到着しました。写真だと距離感が掴みにくいですが、結構大きいです。赤く見える層は、マグマに含まれる鉄分が酸化したものだそうです。
特に何も立て札は無く、柵も規制線も無いため、どこまででも立ち入りが可能です。山のてっぺんまで登れそうでしたが、時間の都合で麓から撮影してこの場は去りました。
ちなみに、この付近はボルダリングのスポットとなっていて、全国からクライマーが訪れます。具体的にどこが競技に使われるのか分かりませんでしたが、崖を下ったところに、適した岩場がありそうです。
大路池
大路池(たいろいけ)は、立根地区にある池です。かつての火口湖といわれていて、2500年前にできたとのこと。長年噴火の被害を受けていないことから、周囲には深い森が形成されています。
2000年の噴火により、各地で火山ガスによる樹木の被害が目立ちましたが、大路池は地形的に被害を受けにくかったため、現在でも豊かな緑が残っています。
- 大路池の入口。
村営バス「大路池」バス停で下車し、都道から山の方へ伸びる細道をひたすら下っていきます。やがて深い森に入り、鳥のさえずりが聞こえてきます。
遊歩道は、池を一周するように造られていて、どちらからでも回ることができます。ただし、自動車が通れるのは、池の北側の桟橋近くまで。池の東側半分は、徒歩でのみ行き来できます。
今回は、遊歩道の合流地点に原付を置いて、徒歩で池を一周することにしました。一周はおよそ1.5kmで、徒歩だと40分ほどの道のりです。
大路池の周辺は窪地になっていて、少し薄暗い印象。木々の間から差し込む光が美しいです。度重なる噴火を経験してきた三宅島において、これだけ豊かな樹木に囲まれた場所は、大変貴重です。
池が見えてきました。エメラルドグリーンの美しい湖面です。
大路池の周辺には、アカコッコをはじめ、イイジマムシクイ、カラスバトなど多くの野鳥が棲息していて、バードウォッチングに最適なスポットです。大路池の近くにある「アカコッコ館」には、三宅島の自然に関する情報が展示されているほか、野鳥の会のメンバーが常駐していて、定期的に野鳥観察会が開催されています。
大路池の北側にある迷子椎(まいごじい)は、三宅村の天然記念物に指定されている巨樹。樹齢は数百年といわれ、幹周りは7.5メートルほどあります。「迷子椎」という名前は、密林に迷い込んでも、この木を目印にすれば助かるといわれたことから名付けられました。
また、この大樹には「噴火を司る神」が宿るとされ、「やどり木」とも呼ばれているそうです。
大路池の北側には、広めの駐車スペースがあり、屋根付きの休憩所やトイレが整備されています。
周囲はとても静かで、鳥のさえずりと虫の鳴き声だけが響きわたっています。桟橋は池に突き出ていて、野鳥を観察するには絶好のロケーションです。
大路池の東側の遊歩道は、険しい山道となっていて、車やバイクの通行はできません。池に沿って道が造られているため、西側とは違って、大路池の風景を眺めながら散策できます。
南側の桟橋まで歩いてきました。こちらは、すぐそばまで樹木が迫っていて、少し木陰になっています。そのためか、北側の桟橋に比べると、ちょっと薄暗いです。車で行ける北側桟橋とは違い、観光客の姿は皆無で、自然観察には適していると思いました。
- 探索日
- 2014/04/30 - 05/03
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