礼文島 旅行・観光ガイド ブログ

久種湖畔キャンプ場・礼文岳の登山口

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礼文島の北部へ向かう

香深から島の北部へ向かってみます。香深港から北端のスコトン岬までは、およそ25km。原付だと1時間半くらいの距離です。

礼文島 地図 地名・観光マップ

地図を見ると分かりますが、礼文島は、南北を縦断する道路が東海岸にしかありません。西海岸は断崖絶壁が続いているため開拓が進んでおらず、所々に点在する番屋(漁の拠点)は、徒歩か海上からしかアクセスできません。このため、香深から船泊方面へ向かうには、東の海岸沿いを走る道道40号線が唯一のルートとなります。

香深井(かふかい)

香深井漁港 礼文島
香深井には小さな漁港がある。

香深から北へ向かうと、最初に通過する集落が香深井(かふかい)です。香深港から約5km地点になります。人気のトレッキングコース「礼文林道」の終点に当たる場所です。「香深」の地名はもともと「香深井」から来ていると云われるため、集落としては香深井のほうが古いのではないかと思います。

香深井集落 礼文島

見内神社は、アイヌに伝わる神を祀る神社。鮮やかな赤い屋根が目を引きます。

礼文島 香深井 見内神社
香深井にある見内神社。

香深井には、比較的内陸にも開けた土地があり、緑ヶ丘スポーツ公園や礼文町自然体験公園パークゴルフ場などが立地しています。

街の中心部に近い交差点の角に、歴史を感じる木造建築がありました。これは、かつて「香深井郵便局」として使われていた建物で、現在は100メートル離れた新局舎に移転しています。なかなか味のある建物で、取り壊すのが惜しいですが、今後活用されるのでしょうか。

礼文島 香深井郵便局
2014年に移転した旧香深井郵便局。

また、集落内では、オホーツク文化期の初期と末期を物語る集落遺跡が見つかっており、擦文土器、カマド付き住居を使用していたこと、鉄器が普及していたことなどがわかっています。時代でいうと、弥生時代初期に当たるもののようです。かなり昔から人が居住していた場所ということになります。

セイコーマート 礼文島 香深店
礼文島唯一のコンビニは、香深~香深井の中間地点にある。

地区でいうと香深井ではないですが、礼文島で唯一のコンビニである「セイコーマート 香深店」は、香深から香深井の中間地点にあります。あえて観光客の多い繁華街ではなく、香深井からもアクセスしやすい中間地点にしたのは、地元民をターゲットにしているからなのでしょう。

起登臼(きとうす)

香深井を過ぎると、海岸線に崖が迫るようになり、民家が一気に無くなります。香深井から約4km進んだところで、再びV字谷の地形となり、小さな集落があります。ここは起登臼(きとうす)と呼ばれる地区で、島内唯一の発電所である北海道電力礼文発電所があります。礼文発電所は、重油を使った内燃力発電所となっています。

礼文島 起登臼(きとうす)
起登臼(きとうす)は、谷間にある小さな集落。

また、起登臼には「うにむき体験センター」という施設があり、一個800円で、新鮮なうにを自分で剥いて食べることができるそうです。

北海道電力礼文発電所 キトウス
礼文発電所は島内唯一の発電所。

内路(ないろ)

起登臼を越えると、道に沿ってぱらぱらと家が点在するようになり、やがて内路(ないろ)という集落にあたります。香深港からは、約11kmの地点です。

内路の語源は、「大きい川」を意味するアイヌ語「ポロ・ナイ・オロ」と云われ、ここが河口の入江であることを示しています。集落は内路川に沿って形成されています。

礼文島 内路漁港
天然の地形を活かした内路漁港。

内路は、礼文島最高峰「礼文岳」(490メートル)の登山口があるため、観光シーズンには登山客の拠点として賑わいます。登山客向けの駐車場や公衆トイレも整備されています。

また内路は、比較的奥まった湾になっていて、天然の地形を活かした漁港としても整備されています。

礼文島 内路
礼文岳の登山口がある内路集落。

上泊(うえどまり)

香深港から約14km地点の上泊(うえどまり)に差し掛かると、道道40号線は登り坂となり、西へ大きくカーブします。この先は、山間部を経て、船泊の中心部へ向かうわけですが、右手に分岐する海岸沿いの道路を進むと、上泊の集落に入っていきます。

礼文島 上泊
この先が上泊集落。

他の地区同様、上泊にも立派な漁港が整備されています。

私が礼文島に来て驚いたことの一つに、非常に短い間隔で多くの漁港が整備されていることがあります。どの集落にも、防波堤が完備された船溜まりがあり、船揚げ施設も完備されているのです。これは、私が今まで見てきた伊豆諸島や沖縄の島々と比べても、圧倒的な違いでした。

礼文島 上泊地区
上泊の町並み。海岸線に家が並ぶ。

恐らく周辺海域が浅く、防波堤が造りやすいのも理由の一つだと思われますが、漁業資源が豊富であること、ウニやホッケ、昆布といった単価の高い“儲かる”品目が占めていることも要因だと思われます。つまり、礼文島をはじめとする北海道近海では、漁業は「儲かる産業」であり、自治体も税金を投入して全力で支援をしているのではないかと感じるのです。

礼文島 上泊 漁業
上泊の海岸線を進む。

上泊地区は、入り江のようになっている端の上泊崎までで終わりですが、上泊の北にも高山(たかやま)、幌泊(ほろどまり)という地区があります。住居は幌泊地区まで、海岸道路沿いに点在しています。

礼文島 高山地区
この先、高山、幌泊という2つの集落が続く。
上泊 交差点 礼文島
直進すると船泊方面、右折すると上泊方面。
礼文島 高山植物 草原
内陸部には一面の草原が広がっている。

ゴミ処理場ルート

ちょっと手前の地点に戻りますが、内路地区を過ぎて、礼文高校の少し北側に、内陸部へ入る登り坂の道があります。実は、久種湖まで道が繋がっていて、こちらからも船泊方面へ行くことができます。

礼文島 ゴミ処理場 道路
内陸部を通って久種湖に向かうルート。

こちらのルートは、道道指定されておらず、センターラインの無い細道が続きます。こちらの方が、車通りが少なくて走りやすいかなと思いきや、大型のダンプトラックがひっきりなしに行き交うため、原付だとちょっと怖かったです。

礼文島 礼文岳
礼文岳の方向を眺める。

実はこの通り沿いには、ゴミの最終処分場が並んでいるんです。自然豊かな島といっても、人間が生活する限り、ごみは出ます。礼文島では、香深井の内陸部にある焼却場で燃やされたゴミをこの場所に埋め立てて処分しています。燃えないゴミや粗大ごみは、直接この場所に持ち込まれます。

ゴミ処分場の周辺は、礼文岳も望める見通しの良い草原が広がっていて、開放感があります。

礼文島 ごみ処分場
ゴミ処分場は盛土された高台にある。

上泊小学校跡

高台に建っている廃墟っぽい建物は、「礼文町立上泊小学校」でした。2006年に船泊小学校へ統合されたため、廃校となりました。

上泊小学校 礼文島の廃校
廃校となった上泊小学校。
廃校の校庭 遊具 礼文島
校庭の遊具が植物に覆われつつある。

建物は、外壁に劣化が目立つものの、内部は手入れされているのかきれいでした。校庭も隅の方を除けば草が刈られていました。校庭には銅像や「開校百周年記念之碑」が建っていて、いずれも劣化はありません。

上泊小学校 廃校の校舎

どうやら、遺跡発掘調査などで団体が来島した際の宿泊拠点として使われることがあるようで、その他にも、災害時の避難所として使う計画もあるようです。

礼文島 廃校の校舎
校舎は宿泊拠点として使われているらしい。

礼文分屯地

陸上自衛隊 礼文分屯地は、上泊小学校近くの坂道を登った先にある日本最北の自衛隊基地です。オションナイ山の頂上付近にあり、第301沿岸監視隊派遣隊、第301基地通信中隊礼文派遣隊、名寄駐屯地業務隊礼文管理班が駐屯しています。

陸上自衛隊 礼文分屯地 入口
礼文分屯地の入口。

礼文島は、ロシアと対峙する国境の島。礼文分屯地の主な任務は、宗谷海峡周辺の監視で、もちろんその相手国はロシアです。

礼文分屯地 アクセス道路
礼文分屯地に向かう道路は立入禁止になっている。

入り口から分屯地まで2km以上の登り坂が続くため、分屯地の建物を捉えることはできません。入り口に看守がいないため、近くまで行けるかなと思ったのですが、入ってすぐ、赤文字で「立入禁止」と書かれた看板があったため、進入を断念しました。

陸上自衛隊 礼文分屯地 全景
礼文分屯地はオションナイ山の頂上にある。

久種湖(くしゅこ)

久種湖(くしゅこ)は、船泊地区にある淡水湖。北方領土を除き、日本最北の湖です。ミズバショウの群生地としても有名で、湖の南方に湿地帯があり、環境省の重要湿地に指定されています。

礼文島 久種湖
ミズバショウの群生地として有名な久種湖。
久種湖 礼文島
久種湖は北方領土を除き日本最北の湖。

久種湖は、礼文岳方面から船泊湾方向に流れるオションナイ川がせき止められてできた堰止湖といわれています。久種湖の北側には、海岸砂丘として陸地化した土地に船泊の街が広がっています。オションナイ川はもともと船泊湾に注いでいた可能性もありますが、海岸砂丘が発達したことで、せき止められ、久種湖になったという説が有力だそうです。

久種湖 礼文島
久種湖は周囲3kmの淡水湖。

久種湖は、冬場渡り鳥の越冬地になっているようで、白鳥やカモなどが飛来します。また、淡水魚も多く生息していて、ワカサギの養殖も行われているそうです。

久種湖畔の道路 礼文島

久種湖畔キャンプ場 礼文島
久種湖の北西にある久種湖畔キャンプ場。

久種湖の北西には、久種湖畔キャンプ場があり、久種湖を一周できる遊歩道も整備されています。湖は周囲3kmあり、ちょっとしたハイキングコースとして最適です。今回は時間がなくて行けませんでしたが、展望台もあるようです。

久種湖 桟橋 ボート乗り場
ボートやカヌーのための小さな桟橋がある。
久種湖 遊歩道 礼文島
遊歩道があり、久種湖を一周できる。
久種湖 湿地帯 礼文島
久種湖の周囲には、背の低い植物が繁茂している。

久種湖の南側には、湿地と草原が広がっていて、とても見通しが良いです。この辺りは湿地帯のためか民家も無く、道路が一本通っている以外は、四方を自然に囲まれていて、原付で駆け抜けるには気持ちの良い環境です。

久種湖 内路 礼文島の内陸道路
この道はゴミ処分場を経由して内路まで続いている。

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探索日
2015/09/20 - 22
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