御蔵島 旅行・観光ガイド ブログ
御蔵島観光 長滝山
このレポートの別ページへ
“ありの木ならでは”の高品質な写真素材を販売中!詳しくはこちら
長滝山について
島の人曰く、「観光客は、とりあえず長滝山に連れて行けば間違いない(満足してくれる)」そうです。そんなオススメ観光スポットである長滝山は、御蔵島の最高峰 御山(851メートル)に次ぐ、標高800メートルの山です。この二つの山は、尾根伝いに縦断することもでき、島の雄大な風景を眺められます。
御蔵島のエコツーリズムについて
- 参加者は、自分合わせて6人。
御蔵島は、東京都との協定により、エコツーリズムを導入しました。これは、観光振興と自然保護を両立するためのもので、都内では小笠原諸島などで事例があります。これに伴い、島内の原生林など多くの地区が自然保護地区となり、ガイド無しでの立ち入りが制限されることになりました。今回訪れる長滝山も立ち入りが制限されている区域の一つです。
ここで言うガイドとは、東京都から認定を受けた山ガイドのことで、御蔵島では観光協会が取り仕切っています。ですから、料金は誰に頼んでも一律ですし、観光協会に相談すれば、その日すでに予約が入っているガイドさんに割り振ってくれたりします。
あと、これは現地に行って知ったことですが、宿によっては付き合いのあるガイドさんがいて、優先的に紹介してくれたりします。まずは、宿泊先に相談してみるのがいいと思います。
今回ガイドをお願いしたのは、ブログ 御蔵島★イルカの棲む島ぐらし を運営している柳瀬さん。これ以降の南郷・御代ヶ池も柳瀬さんにお世話になりました。
伊奈差のシイ
当日は、柳瀬さんが宿まで迎えに来てくれます。今回、長滝山ツアーの参加者は6人。鉄砲場のほか、御蔵荘の宿泊客も2組いました。
まずは、里から車で10分ほどのところにある「伊奈差のシイ」を案内してもらいました。都道沿いにあるため、ガイド無しでも立ち入れる場所です。
樹齢500年といわれる巨樹で、中は空洞になっています。
都道223号
長滝山までは、都道223号線をひたすら道なりに進みます。集落からは8kmほど、車で20~30分ほどの距離になります。
都道223号線は、山の中腹に沿って造られた道路で、里から南郷までの約15kmを結んでいます。乗用車2台がちょうど行き違えるほどの道幅で、くねくねしているためスピードは出せません。しかし、現在南郷への唯一のアクセス路であり、かつては徒歩でしか通れない荒れた山道しか無かったことを思えば、この道路の重要さを感じずにはいられません。
御蔵島は、青ヶ島などと同様に、海岸線が絶壁となっているため、必然的に道路は標高の高い地点に造ることになります。場所によっては、深い谷間や崖地を橋梁で無理矢理通している場所もあり、かなり大がかりな工事であったことが想像されます。
- はるか下の方に水量豊かな川が流れる。
里を離れると、民家は一切見られなくなり、緑豊かな山々だけが視界に広がります。実際のところ、この先都道の終点まで、人家はもちろん、主要な公共施設などはありません。この小さな離島で、無人の地区に道路が建設された経緯は後述します。
草祀りの神様
長滝山に向かう途中、都道沿いに作られた祠のようなものがあります。これは「草祀り(くさまつり)の神様」と呼ばれるもので、標高500メートルほどの地点にあります。
- 草祀りの神様で儀式を済ませる。
昔、島民が山に入る際、ここに草を置き、安全祈願としていたそうです。また、帰る際に草を取り除くことで、「まだ下山していない人がいる」ことを他の島民に伝える意味もありました。移動手段が車となった今では、この習慣はほぼ無くなっていて、現在は観光用に使われるのみとなっています。
- 周りに生えている草をちぎってお供えする。
ちなみに、今回は都道沿いでしたが、島の反対側の村道沿いにも、同じような祠があります。
長滝山の遊歩道
長滝山は、御蔵島の中で最も高地となるエリアです。このため、一年を通じて気温が低く、低温に耐えられる植物が多く見られます。
海に囲まれた孤島であるため、高地である長滝山には雲が掛かりやすく、梅雨~夏場は、登山できないことが多いそうです。雲が掛かると、視界不良で全く風景が見えなくなるのだとか。
- 長滝山の登山口。
登山口は都道沿いにあり、小さな駐車スペースに車を停め、階段を上っていきます。登山道は歩きやすく整備されていて、特別な装備が無くても頂上まで行けるようになっています。
しばらく上っていくと、突然視界が開けて、遠く三宅島まで見渡せる場所に出ます。ツアー参加者からは思わず感嘆の声が上がります。
この日は快晴だったため、非常に眺めが良かったです。夏場は雲が掛かりやすいため、こんな快晴になることは滅多に無いそうです。
御蔵島の特産品にもなっているツゲの木は、長滝山でも多く見ることができます。ツゲは成長が遅く、また幹や枝が非常に堅いので、高地に生えているツゲは、風に吹かれたままの形で固まっています。また、風から身を守るため、あまり高く成長しないのも、高地に自生しているツゲの特徴です。
山の四方が海に囲まれているのは、なんだか不思議な気分でした。
御蔵島は、お椀型の地形なので、海岸に近付くほど急斜面になります。山の上まで登ると、傾斜が緩やかになり、歩きやすくなります。
長滝山では、オオシマザクラがちょうど見頃を迎えていました。また、足元にはマイヅルソウの花が咲いていました。マイヅルソウは、独特な葉の形が特徴的です。
長滝山は、島の南側の斜面に位置するため、植物が豊富です。
長滝山の頂上付近
- ここが長滝山の三角点。
登山口から30分くらい歩いたところで、長滝山の三等三角点を発見。御蔵島には、二等三角点が1箇所、三等三角点が9箇所あるそうです。
頂上を少し過ぎたところから、御代ヶ池を上から望めるビューポイントがあります。ここから見ると、御代ヶ池は小さな水溜まりのように見えます。かつては、ここから御代ヶ池へ分岐する道があったそうですが、現在は通行できなくなっています。
目の前に御山が見えたところで、長滝山ツアーは折り返し。登山口からここまで、徒歩50分ほどの道のりでした。柳瀬さんから明日葉茶を振る舞っていただき、気持ちの良い景色を眺めながら休憩しました。
この先は、巌ヶ原と呼ばれるエリアです。御山までの縦走ルートがあり、左手には一の森が見えます。尖った山々の稜線が見える絶景ポイントです。
- 探索日
- 2014/04/27 - 30
- このレポートの目次