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野崎島の王位石 ツアー・謎の巨石
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野崎島の王位石
野崎島の北端には、「王位石(おえいし)」と呼ばれる謎の巨石があります。人が造ったのか、自然のものなのかさえ分かっておらず、多くの伝説が伝えられる神秘的な場所です。
まずは、王位石の真下にある「沖ノ神島神社(おきのこうじまじんじゃ)」に向かうことになります。アクセスは野崎港から徒歩による山越えしかなく、片道約6.5km、往復約5時間に及ぶ本気の山登りとなります。
野崎集落~沖ノ神島神社の間は、山道を歩くことになります。一応、九州自然歩道と呼ばれる遊歩道として整備されていますが、所々で崩壊が進んでいて、完全に道を見失うポイントもあり、大変危険です。王位石に行く際は、必ずガイドツアーを利用するようにしてください。
王位石のトレッキングツアーの参加者は、私を含めて4人でした。先導するガイドさんが1人なので、計5人のチームで、朝8時半頃に野崎港を出発し、約6.5km離れた沖ノ神島神社を目指します。
沖ノ神島神社が建つ二半岳は、標高305メートルで、神社は標高200メートルほどの地点にあります。
このような険しい道のりですが、野崎集落に住んでいた神官は、荒天の日を除き、毎日神社まで往復していたそうです。歩いてみると分かりますが、片道でも途中で息が上がります。この道を毎日往復するには、相当の体力が必要だと思いました。
二半岳からは、小値賀島の全景を眺めることができます。
余談ですが、かつて小値賀島の島民は、木材調達のため、野崎島まで来ていたとのこと。小値賀島の地区ごとに、野崎島で伐採できるエリアが決められていたそうです。現在も、野崎島には手つかずの原生林が広がっています。
沖ノ神島神社に到着
野崎集落を出てから約2時間、途中何度か休憩を挟みつつ、何とかゴールが近付いてきました。ここを下ると、沖ノ神島神社があります。
突然、いかにも人工的な柵が現れました。坂が急なため、この柵を伝って、少しずつ下っていきます。この柵がないと、道を見失ってしまいそうです。
いよいよ、「神嶋神社」の案内板を見つけました。ゴールはすぐそこです。
- この斜面を下ったところに沖ノ神島神社がある。
ついに、沖ノ神島神社に到着しました。時刻は10時半頃。荷物を置いて、少し休憩します。
沖ノ神島神社ができたのは、704年といわれています。小値賀島にある、「地ノ神島神社(ちのこうじまじんじゃ)」と対になっていますが、どちらが先にできたのかははっきりしていません。両神社は、海を隔てて、互いに向かい合っているそうです。(両神社の中間地点の海底に何かある、という噂があったりします…)
なお、「はまゆう」から見えた海岸の鳥居へは、神社入り口手前の階段を下っていくとたどり着きます。
沖ノ神島神社は、海に面した高台に建っていて、小値賀島を見下ろす形で島全体を眺められる絶景ポイントです。この神社と向かい合わせで、小値賀島に地ノ神島神社が建っていると思うと、ロマンを感じますね。
沖ノ神島神社の本殿は、木造の簡素な建物です。祀られているのは、「鴨分一速王命(かもわけいちはやおうのみこと)」という航海安全を司る神様で、五島列島一帯で信仰されています。
この神社は、遣唐使と密接な関連があるといわれ、実際、遣唐使の船は、航海の安全を祈るため、地ノ神島神社と沖ノ神島神社の間を通って、唐に向かったといわれています。
本殿の内部は、多少壊れているものの、お供え物があり、神社として最低限の体裁が保たれていました。
神社の裏手には、「竜に見える石」があり、ちょっとした話題になっています。人の手で彫られたものなのか、それとも自然のままの形なのかは不明です。
王位石へ
さて、今回の目的である王位石は、沖ノ神島神社の背後にそびえ立っています。神社に荷物を置いて、軽装で王位石に挑みます。
神社の近くの木には、巨大ナメクジがくっついていました。(巨大すぎて、最初はなんだか分かりませんでした…) とにかく、ここは凄い環境です。
王位石は、もう目の前にありますが、そう簡単には近づけません。立っていられないほどの急斜面を、枝や岩に掴まりながら、少しずつ登っていきます。こういう時、軍手があると便利ですね。
とりあえず、王位石の真下に到着。まだ、全体像を見ることはできません。王位石は、高さが24メートルほどあり、鳥居のような形をしています。
王位石の台座をよじ登り、ようやくご対面。噂に聞いていた通りの巨大な石のオブジェです。
ガイドさんの話によると、この石の近くで方位磁石を使うと、北を指す向きが変わるのだそう。この石自体が、磁気を帯びているということでしょうか。
ぱっと見、人間が造ったように見えますが、ここがかなりの急傾斜であり、石の全長が全長5メートルほどあることを考えると、それがいかに難しいことかが分かります。また、かなり不安定な重ね方で絶妙なバランスを取っており、もし、人の手で積み上げたとすると、相当なセンスの持ち主です。
ガイドさんの話では、上に乗ることもできなくはないそうで、実際登った人がいるとのこと。つまり、それだけ安定しているということでもあります。
石と石の間からは、小値賀島が見えます。方角的には、地ノ神島神社がある方向を向いていると思われます。
王位石を左側から見ると、大きな石板に覆われた状態になっていて、これが全体を支えているようにも見えます。
- 側面から見た王位石。
王位石の周りは、まさに原生林という感じです。また、人為的に切り出したのか、直方体の石がごろごろと散らばっています。どうやら、この辺りは石の産地のようです。
と考えると、やはり、周辺で産出された石を、どうにかして積み上げたと考えるのが自然なようです。しかし、これだけ重い石をどうやって持ち上げたのかは、全く分かりませんでした。
もし、人の手で建てられたのだとしたら、どんな目的があったのでしょうか。一説には、海上から確認できる大きさであることから、古くから海上交通のシンボルとされていたのでは、と考えられています。
王位石を見終わったところで昼食の時間となり、小値賀から各自持参した弁当を、沖ノ神島神社で食べました。
- 探索日
- 2015/05/01 - 02
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