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御蔵島 観光 御代ヶ池(みよがいけ)
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御代ヶ池(みよがいけ)へ向かう
御代ヶ池(みよがいけ)は、御蔵島の南部に位置する池。「新東京百景」にも選ばれた場所で、原生林に囲まれた緑豊かな風景が魅力です。
「つぶがね森」と呼ばれる丘の麓にあり、約5300年前の噴火で、もともと川があった場所が堰き止められてできたと考えられています。かつては、噴火口にできたカルデラ湖といった説もあったそうですが、今は堰き止め湖という説が有力だそうです。
長滝山や南郷と同じように、ガイドが必要なエリアのため、今回も柳瀬さんにお世話になりました。
- 都道はコンクリート張り替え工事中。
里から遊歩道の入口までは、車で30分弱。長滝山の登山口より先なので、少し遠い感じがします。
途中、都道の路面張り替え工事に遭遇しました。毎年予算が決まっているそうで、年に200メートルずつ張り替えているそうです。ちなみに、御蔵島の道路は劣化しにくいコンクリート舗装です。
大島分橋と水力発電所
大島分橋で車を降りて休憩。かなり眺めの良い場所です。
はるか下の方に見える道路の先には、離島では珍しい水力発電所があります。これも、豊富な水源に恵まれた、御蔵島ならではの施設です。
ちなみに、水力発電所に続く道は、実は元々南郷へ抜ける旧道だったとのこと。とはいっても、人が歩くだけの山道だったそうですが。現在は、道が途中で崩落しており、南郷まで繋がっていません。
- 下のほうに見えるのが、水力発電所に繋がる道路。
都道を進む
車は山深い風景の中を走ります。山を見ると、所々に黄緑の蛍光色が見られますが、シイの木の新芽だそうです。
4月だというのに、紅葉しているような木がありますが、これは、新芽が赤く色づいているためだそうです。御蔵島は、照葉樹が多いため、秋になっても紅葉する木が少ないのですが、逆に春先の新芽が出る時期には、紅葉したような風景があちこちで見られます。
都道から向かいの山を見ると、大きく斜面が崩れていることが分かります。この大規模な山崩れにより、南郷までの山道は消失したそうです。
- この山崩れにより、南郷への抜け道が崩壊した。
長滝山の登山口を過ぎて少し行くと、「都道最高地」の道標が建っています。ここが、都道223号線の最高地点で、標高は677メートルとのこと。道はここから下りになります。
- 都道223号線の最高地点、標高は677メートル。
御代ヶ池の遊歩道
「都道最高地」から少し下ったところに、御代ヶ池の入口があります。駐車場を兼ねた広い空き地には、観光客向けのトイレも設置されています。
- 車を停めて支度する。ここからは徒歩。
- 観光用にトイレが設置されている。
長滝山では高地、南郷では温暖な低地の特徴的な植生を観察できましたが、御代ヶ池はその中間にあたる場所です。
- 看板が立っている場所が遊歩道の入口。
早速入口で、ショウジョウバカマを発見。食虫植物のモウセンゴケも見つけました。
道はひたすら下り。足場も悪く、雨が降るとかなり厳しそう。4月下旬ということで、さほど暑くはなかったのですが、地形的に湿度が高くなりやすい場所だそうで、しばらく歩いていると、汗が出てきました。ガイドさん曰く、「夏場は蒸し暑いので、春先がいい」そうです。
シマテンナンショウ(御蔵島では「ヘンゴ」と呼ばれる)は、独特の形状をした植物で、食用にもなるそうです。葉の柄の部分が筒状になっていて、虫をおびき寄せます。食虫植物かと思いきや、花粉を媒介してもらうための仕組みだそうです。
似たような形状で、ウラシマソウというのもあります。こちらは、黒っぽい葉が特徴です。
- 晴れ続きだったため、コケが乾燥していた。
一面がコケに覆われた神秘的な空間ですが、この日はしばらく雨が降っていなかったらしく、コケが乾燥してくるくるとカールした状態になっていました。
御蔵島が最後に噴火したのは、5300年前。以後、大きな変動はありません。遊歩道の途中に転がっている大きな岩は、もしかすると、噴火当時のまま鎮座しているものかもしれません。
- 倒れた木も、根を張って成長し続けるのが、御蔵島の特徴。
南郷でも見られたように、御蔵島は地盤が緩いため、倒木が多いのが特徴です。ただ、倒れてしまった木も、根は張ったままなので、成長を続けています。この生命感あふれる森が御蔵島の魅力だと思います。
25分ほど歩いたところで、今度は上り坂に。苔むした岩を伝って、上へ上へと登っていきます。
御代ヶ池に到着
ようやく御代ヶ池に着きました。入口から歩いて約40分の道のりでした。そんなに疲れた感じは無かったですが、蒸し暑いので自然と汗がにじんできます。
御代ヶ池は、思ったほど広くはなく、鬱蒼とした森の中にぽつんとある感じです。辺りはとても静かで、鳥や動物の鳴き声しか聞こえません。
- 長滝山から見た御代ヶ池。
池には元々魚はいなかったそうですが、後に島民が放した鯉が繁殖して、今では様々な色の鯉が泳いでいるとのこと。ただ、この日、鯉の姿を確認することはできませんでした。
御代ヶ池の周囲は自然のままの状態で、周回する道は整備されていません。遊歩道の終点にベンチがあり、ここから池を眺められます。
- 遊歩道の終点には、休憩用のベンチがある。
なお、ベンチのそばには、「救急ボックス」と書かれた箱があり、水や食料が入っていました。
- 御代ヶ池の救急ボックスには、水や食料が入っている。
御蔵島の電力事情
そういえば、帰り道の途中で、道路の脇にある白い建物が気になったので、何なのか聞いてみたところ、火力発電所(正確には、内燃力発電所)でした。あれっ、御蔵島は水力発電で賄っているのではと思いましたが、後で調べてみたら、御蔵島の水力発電所は、最大出力50kワット。これでは、20世帯くらいしか賄えません。一方で、内燃力のほうは、600kワットなので、水力の12倍の出力があります。
- 集落の電力供給は、大半を内燃力発電に頼っている。
かつては、水力だけで賄えていたそうですが、現在の集落の規模だと、ちょっと心許ないですね。
- 役場に申し込めば貸してもらえるという「ミクラリーフ」。
- 探索日
- 2014/04/27 - 30
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