御蔵島 旅行・観光ガイド ブログ
御蔵島村の集落 観光
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御蔵島の里について
御蔵島は、全域が東京都御蔵島村となっています。人口は約300人(※平成25年4月1日現在)です。
- 上空から見た御蔵島の集落。
御蔵島の集落は、標高50~100メートルの位置に集中しています。現在、島内の集落はここ一箇所です。(かつては、島の反対側に南郷という集落がありましたが、現在は廃村となっています)
集落が一つしか無いため、集落には特に名前がありません。「集落」や「里」と呼ぶそうです。
御蔵島では、番地が無くても郵便物が届きます。住所は「東京都御蔵島村」だけでよく、青ヶ島のように「無番地」は付きません。ただ、集落の中でも、都道沿いには字や番地があり、そちらを正式な住所にしている場合もあります。例えば、小中学校や村役場がある地区には、「入金が沢」という字があります。
ちなみに、宛名を書く時には注意が必要です。というのも、島の人口の半分が「広瀬」さん、その次に「栗本」さんが多く、この2つの名字で島の過半数を占めるため、フルネームで書かないと、宛先の家に届かないのです。
里(集落)を歩く
御蔵島の集落は、急斜面に張り付くように造られています。このため、集落の中は坂が多く、車一台がやっと通れる道ばかりです。基本的に集落内の道は村道という扱いだそうですが、民家の脇を通る階段など、一部私有地が公道のようになっている所もありそうです。
- 御蔵島の街は立体的で複雑である。
ちなみに、なぜ島の北端のこの場所に集落ができたのでしょうか。気候的な観点では、島の南側の方が温暖で、台風の影響も受けにくく、農業には有利だそうです。しかし、それでもこの場所が島ただ一つの集落として残っているのは、やはり三宅島の存在があると考えられます。島のガイドさん曰く、「やはり、人恋しいんだと思う」とのこと。いつも三宅島が眺められる位置に住むことで、なんとなく心のよりどころにしているのではないでしょうか。
- 左手に見えるのは、小さな公園。
そんな三宅・御蔵の関係ですが、御蔵島は歴史的に、三宅島の属島のような扱いを受け続けてきました。かつては、三宅島からの連絡船が唯一の上陸手段でしたし、御蔵島に十分な宿泊施設が無かった時代は、三宅島を拠点として、イルカツアーが実施されたりしていました。
しかし、今やそれも昔の話で、東京からの貨客船が直接寄港するようになってからは、完全に独立した経済圏を確立しつつあります。
集落のすぐ背後には、大きな山がそびえています。これにより、集落のこれ以上の拡大が抑えられていて、島民は、限られた土地で生活するための知恵やルールを生み出してきました。それが、「二十八軒衆」という制度だったり、南郷の開拓だったりします。
御蔵島のガソリンスタンド
御蔵島のガソリン価格は、日本でも最高水準の値段だそうです。その理由は、運搬方法にあります。お隣三宅島では、石油の貯蓄タンクがあるため、まとまった量を搬入できます。一方、御蔵島にはタンクを建設する平地がないため、ガソリンは常に缶で運ばれてきます。このため、どうしても単価が上がってしまいます。
訪問当時の価格は、1リッター230円。この価格は、助成分の30円が差し引かれた額なので、本当の価格は260円です。
- 集落内で唯一のガソリンスタンド。
里(集落)のメインストリート
御蔵島港から続くこの坂道が、集落のメインストリートとなっています。この道沿いに、ふくまる商店や美々庵、駐在所、郵便局などが並んでいます。
- 港から続く集落のメインストリート。
かなり急な坂道で、歩いていても足が痛くなるほど。観光客の姿は、ぽつぽつと見られましたが、さほど賑わってはいませんでした。
- 三宅島警察署 御蔵島駐在所。
御蔵島郵便局は、島で唯一の金融機関。ATMがあるので、手持ちのお金が無くなったらここでおろせます。離島だと、たいてい郵便局が頼みの綱になります。
ふれあい広場は、バンガローやバーベキュー施設を備えた公園のような場所。三宅島を望める高台にあり、景色も良いです。バンガローは5棟あり、コインシャワーもありますが、布団無し、空調無しなので、かなり過酷な環境です。
管理しているのは村の観光協会で、事前に予約すれば、各種施設を利用できます。御蔵島観光案内所が窓口になっています。
- バンガローで宿泊も可能な「村営ふれあい広場」。
御蔵島観光案内所
御蔵島観光案内所は、リニューアルして間もないのか、非常にきれいな建物でした。島内マップや各種パンフレットを入手できるほか、観光ガイドの斡旋もお願いできます。私が行った時は、男性の方が一人受付に座っていて、気さくに話をしてくれました。
- 島の観光案内所。
なお、観光案内所の一階は、島の資料館になっていて、有料で観覧できます。
御蔵島村保育園と稲根神社
御蔵島村保育園は、坂を上った集落の一番上に位置しています。近くを通りかかったら、楽しそうな音楽と太鼓の音が聞こえてきたので、ちょっと覗いてみました。
園庭に島の人が集まっていて、「御蔵島音頭」の練習をしているところでした。人数は少ないですが、いろんな年代の人が集っています。
- 保育園の園庭では、御蔵島音頭の練習をしていた。
また別の日には、手作りのきれいな鯉のぼり(?)が飾ってありました。金魚のようなものもあって面白かったです。ここに吊されている鯉のぼりの数から察すると、園児は10人もいないようですね。
保育園の奥には、稲根神社拝殿(三宝神社)があります。稲根神社の本殿は、えびね公園の先にありますが、非常にアクセスが悪いため、集落の近くに拝殿を設けているそうです。
境内には、明治時代に座礁したバイキング号の碇が展示されています。
御蔵島小中学校
御蔵島小中学校は、島で最も立派な建物ではないでしょうか。児童生徒数は20人ほど。それに対して、小学校は各学年に担任が一人ずつ、中学校は各教科に教科担当が一人ずついて、児童生徒と先生が同じ人数、もしくは、先生の方が多いそうです。このあたりは、東京都の財力によるところも大きいと思うので、他県の離島よりだいぶ恵まれているのかもしれません。
ちなみに、島には中学校までしかありません。島の子ども達は、高校生になると島を出て行くわけですが、大抵の場合、本土の高校に行きます。昔は、三宅島高校に行く人が多かったそうですが、今や島間の移動は少なくなったとのこと。
御蔵島は、離島としては珍しく、近年人口が増加傾向にあります。しかも、子どもが増えているのです。これは、若い移住者が多いことに加え、女性に人気のある島であることも一因といえそうです。
ただ一方で、子だくさんの家族が多く、子どもの進学を機に、家族丸ごと島から出て行ってしまうケースが後を絶たないそうです。この影響で、年度の初めに、島の人口がごそっと減る現象が発生します。小中学校しかない小さな離島の宿命といえます。
- 御蔵島村役場。
夕暮れに染まった集落
集落は非常に密集しているため、山側の都道から海を眺めると、集落全体を一望できます。水平線には三宅島の島影が浮かび、夕暮れ時になるとなかなかの絶景です。
- 探索日
- 2014/04/27 - 30
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