神津島 旅行・観光ガイド ブログ
天上山トレッキング・裏砂漠展望地・千代池
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神津島の最高峰、天上山
天上山は、神津島で最高峰の山です。標高は572メートルしかないので、伊豆諸島の他の島に比べると、それほど高くはありませんが、島が比較的平坦な地形のため、そびえ立つように見えます。
838年に大規模な噴火があった火山ですが、近年目立った火山活動は報告されていません。
黒島登山道から登る
登山道は、黒島登山道と白島登山道の2つがあり、集落に近いのは黒島登山道の方です。今回は、宿から登山口まで車で送ってもらいました。
黒島登山口の近くに「山の神・冷風穴」があります。道端に洞窟のような穴が開いている場所で、冷たい風が吹き上がっているのを感じることができます。島の人はこれを「地中から風神が風を送っている」と解釈して、信仰の場となっているようです。
- 天上山の登山口。
黒島登山道は、つづら折りの階段が続くきつい登り坂で、標高200メートルの地点から、標高480メートルの10合目まで、一気に登っていきます。
かなり息の上がる坂道で、途中何度も休憩しました。結局、40分ほどで10合目まで登り切りました。途中、何も遮るものがないため、夏場だと日陰が恋しくなるかもしれません。常に集落を見下ろす形になるため、景色は良い登山道だと思います。
黒島登山道の10合目からは、神津島の集落を一望できます。
オロシャの石塁
天上山の10合目には、「オロシャの石塁」と呼ばれる遺構が残っています。これは、江戸時代の文政10年(1827年)に、幕府の命令で築かれた石塁の跡です。
当時、アメリカやイギリスの船が周囲に出没するようになり、万が一の侵略に備え、この山に引き寄せて戦えるようにしたものだそうです。
- オロシャの石塁。
千代池(せんだいいけ)
天上山の10合目周辺は、かつての火口原であり、火口跡に水が溜まってできた池がいくつか点在しています。
黒島展望台の近くにある千代池(せんだいいけ)は、その一つです。
黒島山頂の10合目から、千代池に分岐する道があり、5分ほど斜面を下っていった先にあります。
- 天上山の10合目に到着。
10合目付近は、背の高さほどの草木が生い茂っていて、見通しが悪いです。思わぬ分岐に迷い込むこともあります。途中、黒島展望台への分岐がありましたが、今回は時間の関係でパスしました。
黒島展望台は、10合目からさらに10分ほど登った場所にある展望台です。標高は524メートルで、広大な太平洋を一望できるそうです。
- この山の頂上が黒島展望台。
千代池に向かう途中にも、小さな池を見つけました。どうやら、雨水が溜まるような窪みがあちこちにあるようです。
千代池は、天上山で最大の池です。火口跡に雨水が溜まったもので、晴れの日が続くと、完全に干上がってしまうこともあるそうです。この日は、そこそこ水が溜まっていました。
池の畔は休憩スペースになっていて、ベンチが設置されていました。(ただし、トイレは無いため注意が必要です)
裏砂漠へ向かう
それでは、裏砂漠を経由して裏砂漠展望地を目指して進みます。
天上山には、表砂漠と裏砂漠という2つの砂漠地帯があります。どちらも、山頂の景色とは思えないほど荒涼とした風景が広がっています。
天上山の山頂は、不気味なほどの静寂に包まれていました。風が吹いても樹木のそよぐ音がしないのは、堅い枝の樹木が多いからです。強風に耐えるためか、背の低い樹木が多く、ちょっとの風ではびくともしません。虫や鳥の鳴き声だけが、耳に入ってきます。
訪れたのは土曜日でしたが、山頂で人と出会うことはありませんでした。
- 岩が転がっていて、背の高い樹木が少ない。
山頂のあちこちで、登山者向けの啓発看板が立てられています。その多くは、島の小学生が書いたものらしく、情を誘うものや直球すぎて笑ってしまうものなどがあり、見ていて楽しいです。
裏砂漠への分岐路に立っている「マウンテン LOVE」がツボでした。
- 地元の小学生が描いた看板。
黒島登山道から裏砂漠へ抜けるには、「マウンテン LOVE」の看板の地点から道を逸れて、岩場を登っていきます。なかなか険しい山道で、黄色いペンキで標された道順が無いと、道を見失ってしまいそうです。
裏砂漠に近付くと、徐々に岩肌が露出した風景が広がっていきます。
裏砂漠に到着
裏砂漠は、長年に渡って強風に晒されたことでできたものだそうです。
観光ガイドには、「月の世界のような地形を思わせる」と書かれていました。山頂で空と砂漠しか見えないため、それが別の惑星にいるような感覚にさせるのでしょう。
- 裏砂漠に到着。
道順が分かるように、山道の両脇に石が並べられています。
本当に、時折吹く風の音しかしない空間です。人影はなく、動植物の姿も無いため、死の世界という表現が相応しいかもしれません。
あちこちに大きめの岩が転がっているのは、風で飛ばされてきたのでしょうか。このサイズの岩が落ちてきたら、大けがしそうですね。
裏砂漠を進むと、再び、緑に覆われた風景に戻ってきます。急に道順を示す目印が無くなりますが、落ち着いて辺りを見回したら、「展望地」の方角が書かれた小さな看板を見つけました。
裏砂漠展望地
裏砂漠展望地は、天上山の東側の崖地に面した展望台です。ベンチと案内板が設置され、休憩できるようになっています。
- 裏砂漠展望地に到着。
裏砂漠展望地からは、祇苗島(ただなえじま)を眺めることができます。
祇苗島は、2つの島からなる無人島で、独自の進化を遂げた巨大なシマヘビが生息することから、「蛇島」とも呼ばれています。
祇苗島の周囲は切り立った崖になっていて、上陸が難しそうな地形です。
晴れた日には、三宅島や御蔵島の島影も確認できるようですが、この日は、靄が掛かっていて、いまいちよく見えませんでした。左手には式根島や新島があり、こちらは辛うじて目視できる状態でした。
- 新島と式根島の島影も確認できる。
ちなみに、帰りは黒島登山口から集落まで歩きました。下りだったこともあり、そんなに辛くはありませんでした。ゆっくり歩いて、20分ちょっと掛かったと思います。
- 探索日
- 2015/04/18 - 19
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