化女沼レジャーランド 旅行・観光ガイド ブログ

化女沼パークホテル(廃墟ホテル)・大浴場・屋上

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化女沼パークホテルについて

野外ステージの前の道をさらに進むと、左側に「化女沼パークホテル」が姿を現します。「化女沼観光ホテル」とも呼ばれたホテルです。ゴルフ練習場に落ちていた料金表によると、一泊二食付きで6,500円~(小人5,000円~)。日帰り入浴は、1,000円(小人600円)だったみたいです。

営業当時は、宿泊客の他、一般利用者でもレストラン(午後9時まで営業)の利用が可能だったようですね。看板には、大浴場、サウナ、バーの記載もありました。

建物内は機械警備が入っており、現在も電気が供給されています。定期的にオーナーや警備会社が出入りしているためか、ホテル前まで車が出入りできる程度の通路は確保されています。

化女沼パークホテル 外観
化女沼パークホテルは木造の渋い建物。

化女沼パークホテルの外観は、渋い木造建築の和風旅館という感じ。「パークホテル」という名前とは少々ギャップがありますが、建物のデザインは当時のトレンドを反映したものなのでしょう。

化女沼パークホテル 入り口
化女沼パークホテル(化女沼観光ホテル)の正面。

オーナー(後藤社長)の話

ホテル見学の前に、まずはオーナーである後藤社長がツアー客に当時のエピソードなどをお話してくださいました。

後藤社長は、現在85歳(ツアー当時)。そもそも、閉園から約16年経った現在も園内の遊具や施設が撤去されていないのは、後藤社長の意向が理由でした。後藤社長は、「化女沼を一大観光地にしたい」という自身の夢を受け継いでくれる人に、この敷地すべてを託したいという熱い思いがあるようです。だからこそ、現在も元従業員が清掃活動を行い、後藤社長がずっと土地建物を所有し続けています。

近年、「化女沼レジャーランドの買い手を探している」という話がSNSやニュースを騒がせていますが、まさに後藤社長の思いを継承してくれる売却先を目下募集中とのことです。

化女沼観光ホテル エントランス
化女沼パークホテルのエントランス。
化女沼パークホテルのロビー
ホテルのロビーには、椅子やテーブルが積まれていた。

化女沼レジャーランドの土地は4万5千坪。後藤社長は、当初から事業化できないかと思って目をつけていたといいます。当時はバブル景気真っ只中でしたが、それでも資金調達には苦労したそうです。というのも、遊園地経営というのは、土地を買って終わりではなく、施設の建設などに数十億単位で費用が掛かります。地元の地銀もなかなか融資に踏み切ってくれず、頭取を呼び出したこともあったとか。

その後、なんとか開園し、最盛期には年間30万人を集客する人気施設になりました。

ホテルの廃墟 化女沼パークホテル
パークホテルのロビーに集まり、後藤社長のお話を聞いた。

閉園後、化女沼レジャーランドが「廃墟」として有名になる転機となった出来事があります。NHKの番組「新日本風土記」で、廃墟をテーマとした回があり、そこで化女沼レジャーランドが取り上げられたのです。

当時、番組ディレクター7名が現地を訪れ、約1週間に渡って取材したそうです。ディレクターが後藤社長に対して「どうしてそんなにお元気なんですか?」と質問したところ、毎日やっている乾布摩擦や、趣味のダンスが元気の秘訣と答えたとのこと。そこで、番組では、後藤社長が得意のダンスを披露したり、全裸で乾布摩擦をしている様子が放送されたそうです。これは全国放送だったため、これを見た在京キー局が相次いで取材に訪れ、朝昼夜の各局ニュースに取り上げられたのだといいます。後藤社長は、「営業中にこれだけ取り上げられていたら」と苦笑いしていました。

化女沼パークホテルのフロント
パークホテルのフロント。当時のままの状態で残っている

ちなみに、廃墟ということで、テレビ番組で「心霊スポット」として紹介されることもあるそうですが、心霊現象が起きたという事実は無いそうで、安心してほしいとのことでした。

今回、売却先を探しているというツイートも拡散され、NHKと全民放のニュースで取り上げられる騒ぎとなりました。その結果、様々なところから引き合いがあったようです。

ホテル内を散策する

1階ロビーとその周辺

まずは、ロビーがある1階を散策。ロビーには、現在椅子やテーブルなどの備品が保管されていますが、これが無ければ、割と広々とした空間です。

ロビーから地続きの場所に、襖で区切られた空間があったので行ってみます。

廃墟のホテル 化女沼レジャーランド
手前のカウンターは「喫茶ラウンジ」。奥の襖の空間は何だろう。

窓ガラスには、見事なまでの穴が空いていました。道路に面している側の窓ですし、これは、意図的な破壊行為でしょう。こうして、貴重な歴史遺産が傷ついていくのは残念ですね。

廃墟の窓ガラス 化女沼レジャーランド
窓ガラスが割られていた。

さて、襖で仕切られた部屋に入ってみます。どうやらここは宴会部屋みたいですね。お祭りのような提灯がぶら下がっていて、雰囲気作りをしている様子が窺えます。

化女沼レジャーランド 宴会場
宴会に使う大部屋だと思われる。
宴会場の廃墟 雨漏り
テレビが転がっていた。雨漏りがすごい。

部屋はきれいに片付けられていたため、これといって取り上げるべきものはありませんが、壁や天井の雨漏りがひどいです。ここは1階なので、問題があるのはこの上の階だと思います。天井だけでなく、壁が結構傷んでいそうな様子なので、大規模な改修が必要かもしれません。

2階の宴会場・客室

化女沼パークホテル 2階
2階に上がってみる。

2階にも上がってみましょう。階段を上ると、廊下がやけに明るくなっていることに気づきます。

照明はついていないはずですが…、と思って見てみると、天井が抜けていました。しかも、結構大規模な崩壊です。

ホテルの廃墟 雨漏り 化女沼レジャーランド
大きく天井が抜け落ちている。雨の吹き込みがすごい。

天井が抜けているため、壁や床はカビだらけ。この日は雨が降っていたため、床はびちょびちょです。化女沼パークホテルは木造のため、こうなってしまうと、躯体の強度も心配になります。

ちなみに、階段を登ったところにある暗い部屋は、「バー・メルヘン」。内部は、バーカウンターとソファー席があり、暗く落ち着いた内装になっています。

化女沼レジャーランド バー・メルヘン(Bar Marchen)
中央の入口は、ホテル内で営業していた「バー・メルヘン」。

客室の方にも入ってみます。

こちらは大広間です。ちょっとした出し物ができる舞台を備え、宴会場として使われていたと思われます。雑魚寝スタイルであれば、修学旅行の宿泊などでも使えたかもしれません。

化女沼パークホテルは、団体客をターゲットにしていたのか、大部屋や宴会場が多くを占めている印象です。時代的にも、会社の慰安旅行が多かった頃でしょうから、当時の一般的なホテルのスタイルといえるでしょう。

化女沼パークホテル 大広間 廃墟
仕切りが無く、広々とした印象の大部屋。畳の状態も悪くなさそう。

所々天井が破損していて、部分的に崩壊が始まっているようです。やはり、メンテナンスしないと、木造建築は弱いですね。

廃墟ホテル 大広間
この部屋も、一部天井が抜けていた。
廃墟ホテルの職員室 化女沼レジャーランド ホテル
業務用エレベーターなどがあるスタッフルーム。

宿泊用の部屋も見てみます。

こちらは、一般的な旅館スタイルの和室ですね。先ほどの宴会場などに比べると、雨漏りがなく、ここだけ見ると現役の旅館のようです。

化女沼観光ホテル 客室 廃墟
宿泊用の客室は状態が良い。

部分的にはまだ使えそうなだけに、先ほどのような天井崩壊、雨漏りは残念でなりません。

設備面ではだいぶ古いですが、ユニットバスなんかも、そのまま今でも使えそうでした。

化女沼観光ホテル ユニットバス
トイレ、浴室はユニットバス。

大浴場

大浴場にも行ってみましょう。前述の通り、化女沼パークホテルの大浴場は、日帰り入浴も可能なラドン温泉となっていました。(温泉の源泉が見つかったのは廃業後のため、パークホテル内には引き込まれていません)

大浴場は、1階のロビーから通路を抜けた先にあります。

廃墟ホテルの脱衣場 化女沼レジャーランド
大浴場の脱衣所。カゴや椅子など備品が残っている。

大浴場は、男湯・女湯ともに開放されていましたが、まずは、「男子大浴場」と書かれた方へ。(男子と女子は、プレートの交換が可能な作りになっているため、実際には頻繁に入れ替えられていた可能性があります)

脱衣場には、見慣れたカゴやロッカーが残っていて、大浴場の雰囲気が漂います。

廃墟ホテルのトイレ 化女沼パークホテル
大浴場のトイレ。

脱衣所や洗面所は、長い年月放置されたことで、ホコリは溜まっていますが、これといって大きく破損している箇所は無さそうです。

廃墟ホテルの洗面所 化女沼レジャーランド
洗面所にはドライヤーやティッシュ箱などが残る。

浴室に入ってみると、視界いっぱいに広がる大きな窓に目を引かれます。ホテル内の案内板には、「大展望風呂」と書かれていましたが、この大窓を売りにしていたのでしょうか。

これだけ大きな窓なので、派手に割れてしまっている箇所もありますが、比較的きれいに残っている方なのではないでしょうか。

ところで、「大展望」といいながら、樹木が窓を取り囲んでいて、景色はほとんど見えません。たぶん、もともとこの樹木はもっと背が低くて、窓からは化女沼の景色が眺められたのではないかと思います。

廃墟ホテル 大浴場 化女沼レジャーランド
大展望風呂と名付けられた大浴場。窓が大きい。

浴槽は、それぞれ3つずつ。浴場内に釜風呂(サウナ)もありました。ラドン温泉が一つの売りになっていたとのことで、3つある浴槽のうちの1つ(恐らくガラスの壁で仕切られた浴槽)はラドンの浴槽だったのでしょう。

壁には、「ラドン医科学事業団」のパネルが貼られていて、ラドン温泉の効能や安全性について説明されていました。

化女沼観光ホテル 女子大浴場
女湯にも入ってみた。間取りは違うが、設備はほとんど同じ。

「女子大浴場」の方にも入ってみました。間取りは微妙に違いますが、広さはそんなに変わらないのではないかと思います。

「大展望」の窓が、女湯の方が少ない気がしましたが、これは間取りの都合でしょう。

廃墟ホテルの大浴場 女湯
女湯の浴場。男湯に比べて窓が少ないため、やや暗く感じる。

屋上からの眺め

最後に、屋上へ登ってみます。

フロントやロビーがあった入り口の建物は木造でしたが、大浴場などがある奥の別館は鉄筋コンクリート造のようで、なんと屋上に上がることができます。また、別館が建っている場所が、本館より高い位置にあるようで、同じ2階建てでありながらも、屋上からの眺めが期待できそうです。

化女沼パークホテル 屋上への階段
別館は屋上に出ることができる。

屋上に出ようと扉を開けたところ、扉の前に水が溜まって池のようになっていました。排水口が詰まっているのでしょうか。

幸い水が溜まっていたのは全体の半分くらいだったので、避けて屋上に出ることができました。

化女沼観光ホテル 廃墟の屋上
屋上の半分くらいは水が溜まっていた。

屋上は期待していたとおり、とても眺めがよく、化女沼一帯を一望することができます。

営業時はもちろん立入禁止だったでしょうから、廃墟化したからこそ見られた景色といえるかもしれません。

化女沼レジャーランド 観光ホテルの屋上
パークホテルの屋上から周辺の景色を眺められる。

フロントがある本館の建物を見下ろす形となるため、屋根の様子も見ることができます。

スレート屋根の頂点の一部がごっそり削られている状態でした。人為的に壊されたとは思えない位置なので、台風などで飛来物が当たったか、雪の影響でしょうか。

化女沼レジャーランド ホテルの屋根 廃墟
本館の屋根が破損しているのが確認できる。
化女沼パークホテル 屋上からの眺め
ホテルのすぐ隣に野外ステージがあるのがわかる。
化女沼の廃墟からの眺望 化女沼の風景
化女沼がよく見える。

屋上からは、化女沼レジャーランド内からだとなかなか見えない化女沼の風景が眺められます。化女沼だけでなく、周辺の地形が見えるため、化女沼レジャーランドがどういう場所に造られたのかがよくわかりました。

化女沼レジャーランドは、化女沼の畔のやや高台にあり、その中でもこのパークホテルは小高い丘の上に位置しているようです。後藤社長がこの場所を選んでホテルを建てたのは、もちろん眺望を意識してのことでしょう。化女沼の周囲には、同条件の土地があまり無いようなので、化女沼を眺めるには、一等地といえる場所なのかもしれません。

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探索日
2016/08/20
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