このカテゴリの別ページへ
オートレストラン鉄剣タロー
オートレストラン鉄剣タロー
先日、「オートレストラン鉄剣タロー」というお店を訪ねました。レトロ自販機の聖地とされていて、マニアの間では有名な物件です。
埼玉県行田市の国道17号線沿いにあり、周囲には田畑が広がっているものの、車通りの激しい場所でした。
でかでかと看板が出ているので、注意深く見ていれば見落とすことは無いと思いますが、その寂れた外観から、とても営業中の店舗には見えず、事情を知っている人でないと、入店しようとは思わないでしょう。
訪れたのは18時過ぎでしたが、来店客のものと思われる車が4台駐まっていました。広大な駐車スペースからすると少ないように感じますが、それでも固定客はいるようです。
早速店内へ入ってみます。
店内は昭和の雰囲気。ちょうど夕刻だったこともあり、夕日に照らし出された様子が、さらにレトロ感をかき立てます。店の奥の壁には、様々な自販機が一列に並び、入口から向かって左の一角には、十数台のアーケードゲーム機が稼働していました。
「鉄剣タロー」は24時間営業ですが、普段は店員が常駐していません。このため、多くの自販機とゲーム機が常時稼働しているわけです。
広々とした店内には、丸テーブルと椅子が3セット設置されていて、ゆったりと休憩することもできます。
自販機ファンだけでなく、レトロゲームマニアにも愛される当店には、懐かしのゲームがいっぱい。私はゲームには疎いのですが、客が少ないこともあって、一日中遊んでいられそうでした。
さて、ではいよいよ今回の主目的である自販機コーナーへ。
普通の自販機に混じって、見たことのない不思議な自販機が並んでいます。
うどんそば自販機は、本物のうどんとそばが食べられる珍しい自販機。使い方が難しいのか、かなり丁寧な説明書が付いています。
近くには、うどんの器を運ぶためのお盆が置いてありました。かなり熱いのでしょうか。自販機でうどんを食べるのも、なかなか大変そうです。
何やら厳重な鉄板で守られた黒い機械は、高額紙幣の両替機でした。無人店舗で高額な現金を扱うということで、ここだけかなり頑丈に造られていますが、それでも問題があったのか、現在は稼働していません。
「メダルサービス品」と書かれた自販機には、「警察の指導により景品の提供はできなくなりました」という張り紙があって、稼働していませんでした。
このお店の名物と言ってもいいのが、ハンバーガー自販機とトーストサンド自販機です。昭和の雰囲気を漂わせるこれらの自販機が現役で稼働しているのは、東京近郊ではここだけだと言われています。
せっかくなので、両方買ってみました。
まずはトーストサンド自販機ですが、ハムサンド(220円)のみが販売中でした。お金を入れてボタンを押すと、「トースト中」のランプが点きます。
「焼き上がりまで約1分程お待ち下さい」と書かれているので、とりあえず待っていると、銀紙に包まれた物体が、取り出し口に落ちてきました。
これが非常に熱く、取り出すのにだいぶ苦労しました。
銀紙の中身は普通のトーストで、ちょっと湿っている様子。どうやら、元々焼き目の付いていたトーストを、温め直しただけのようです。
ハムが丸々一枚ととろけるチーズが挟まっていて、食べごたえは十分。ただ、220円という値段に対して、味はいたって普通なので、人によっては高いと感じるかもしれません。ここは、温かいものが食べられる幸福感と、自販機そのものの希少性に価値を感じるべきでしょう。
ちなみに、出てきた商品には、きっちりと2日以内の消費期限が書かれていて、かなりの頻度で商品が入れ替えられていることが分かります(おそらく調理済みの状態で冷蔵されているのでしょう)。メンテナンスの手間や在庫リスクを考えると、全然利益が出てないのでは、と逆に心配になってしまいます。
隣のハンバーガー自販機でも一つ購入してみます。
販売されていたのは、「チーズバーガー」(220円)のみでした。硬貨を投入してボタンを押すと、加熱ランプが点くのは、先ほどと同じ。こちらはご丁寧に残り時間がカウントダウンされる仕様です。
60秒ほど待つと、受け取り口にアツアツの商品が出てきました。こちらは、紙の箱に入った状態です。
恐る恐る、箱の中身を取り出します。自販機の絵面から想像していたものよりは、だいぶ小振りな印象でしたが、紙に包まれたチーズバーガーが姿を現しました。
先ほどのハムサンド同様、既製品を加熱しただけのようで、パンが少ししわしわになっていましたが、肉厚のハンバーグにマスタードがいい感じに掛かっていて、意外と美味しかったです。
こちらも、賞味期限が2日後と長くなく、頻繁に入れ替えられているのだと思われます。なお、製造販売元として記載されていたのは、「マルイケ食品」という伊勢崎市の会社で、この自動販売機専用品として作られているようでした。
自販機とは関係ないですが、自販機に並んで「花や植物の種差しあげます」と書かれた一角がありました。オーナーの趣味なのでしょうか。カップ麺の容器から芽が出ている様子はなかなかシュールです。
張り紙には、昨年亡くなったというアルバイトの方の形見として、朝顔の種を配っていると書かれていました。
こうしたオーナーの人柄は、ファンからの支持も厚く、多くのメッセージが寄せられていました。
ちなみに、店舗の建物は広いのですが、店の半分は空きスペースとなっています。かつては、「鉄剣タロー販売店」というフィギュアやDVDを売るお店があったらしいのですが、閉店したようです。その後、映画「TOKYO TRIBE」のロケ地として使われ、撮影時に描かれたグラフィティがそのまま残されました。現在は、映画ファンの巡礼地としても親しまれています。
お店が丸ごと文化遺産ともいえる「鉄剣タロー」。ぜひみんなで守り続けたいお店ですね。
- 投稿日時
-
2015年07月13日
こちらもオススメです(旅行記)
- このカテゴリの目次