秩父鉄道・武州原谷駅のベルトコンベア 旅行・観光ガイド ブログ
秩父鉄道・武州原谷駅のベルトコンベア
工場という芸術品
秩父は、古くから石灰石の採掘で栄えてきた地域です。市内には秩父太平洋セメントの鉱業所と工場があり、市内を走る秩父鉄道は、旧秩父セメントの貨物輸送を担ってきた歴史があります。
そんな“セメントの街”秩父で、特に大規模な工場が、大野原に立地する秩父太平洋セメントの秩父工場です。
秩父工場は秩父鉄道線に隣接していて、武州原谷駅という巨大な貨物駅を形成しています。大野原駅と和銅黒谷駅の間に位置し、大野原駅からは、歩いて10分程度の距離です。
秩父工場は、その設備がモダン建築20選に選ばれるなど、シンプルで美しいフォルムと調和のとれたレイアウトが高く評価されているそうです。確かに、芸術作品のような、完成された美しさがあります。
遥か続く道
一般にはあまり知られていませんが、セメント工場に付随する施設として、ベルトコンベアがあります。
この秩父工場ではかつて、近くの三輪鉱業所で産出する石灰石を鉄道輸送で運び入れていたそうです。ところが、三輪鉱業所が枯渇気味となり、産出量が減ってしまったため、現在は原料の大半を、30km以上離れた群馬県の叶山から運び入れています。
叶山からの輸送には、ほぼ全行程でベルトコンベアが使われており、その長さは20km以上にもなるとのこと。
残念ながら、そのほとんどは地中に埋まっており、実際に稼働している様子を見ることはできません。しかし、山岳地帯の複雑な地形を通しているため、部分的に地上に顔を出している箇所があります。
今回目指したのは、ベルトコンベアが川を渡っていると思われる地点です。地図上で確認すると、オートキャンプ場のすぐ傍をベルトコンベアが通っているようです。
地元の人に道を訊きながら、河原へ下る道を探しました。そして、オートキャンプ場の敷地を抜けたところに、ありました、コンベアの中継施設です。
中からは、ごおんごおんと機械の音が聞こえます。建物の入り口には、小さく「荒川苑中継室」と書かれていました。
しかも、中継室の近くには、替えのベルトと思われる、黒いロールが。これは、予想以上の収穫でした。
さらに、川べりに降りてみると、ベルトコンベアの橋がありました。叶山からここまで、延々石灰石が流れてくるのだと思うと、ちょっとしたロマンですね。
- 探索日
- 2009/07/05